BVLGARI Rettangolo Square Chronograph プッシュボタン
2020.5.2お預かりのBVLGARI Rettangolo Square Chronograph プッシュボタン修理です。何度か私が電池交換は行った時計ですが、今回は「プッシュボタンが押せない」と。
左側のプッシュボタンが固着状態、右が押し込みが浅い感じです。以前から気にはなっておりましたが、電池交換のみでは、プッシュボタンまでは触れない。「ゼロ位置合わせ」が出来ない場合は修理もあり得ますが。
ウレタン・バンドに両開きバックル。
裏蓋は6本ネジで留まっていて裏蓋記載。
電池交換の時から、ネジを回すのも固いくらいに、ネジ穴が錆ておりました。
裏蓋の裏側もチェックして。
これがムーブメントで。
ムーブメント拡大。この特殊形状のパッキンも、そろそろ限界ですが。それはメーカーへ送るしか無く。メーカーへ送ればパッキンだけでは済みません。これだけ錆の粉が散っていれば分解修理も必須。プッシュボタンの交換も必須。となれば10万円では済まないでしょう。
竜頭を抜いてみますが根本が錆びておりますので、軽く削り落として洗浄します。
竜頭パイプもチェックしますが、この状態。
このスペーサーを外すのが厄介でしたが、白い物は丁番を支点に動く構造で、プッシュボタンの動きをムーブメントに伝える役目を果たします。
これが取り出した文字盤&ムーブメント。
ケースの内側もチェックします。竜頭パイプの裏側が錆びております。
ピンボケですがプッシュボタンも錆びて固着。まずはプッシュボタンを付けたまま洗浄します。これで治る場合もありますから。
しかし、洗浄のみではプッシュボタンは不動ですから、外す事にします。プッシュボタンの軸を抜いてみますが錆が見えます。不思議な事は、このシャフトがプッシュボタンに差し込んであるのみの構造で、ネジとか、ストッパーとかの固定する物がありません。
プッシュボタンの裏側もチェックします。
プッシュボタンのバネも若干錆びており洗浄します。
安物の時計なら錆で折れたりしますが、流石はブランド・ウォッチ。弾力性・強度などは保っております。
錆で固着という訳ではなかったですが、シャフト部分のグリス切れによる固着ですか。
プッシュボタンが収まる部分は、この状態。
再度、ケースの洗浄は終わってツヤが出ましたね。
プッシュボタンの部分も、ここまで綺麗に。右のプッシュボタンのパイプ横の突起がありません。これは洗浄器の底に沈んでおりました。
プッシュボタンも洗浄して綺麗になりました。
裏蓋ネジも洗浄して綺麗に。
全体的にツヤが出て綺麗に。
ついでにウレタン・バンドも洗浄して、綺麗になりました。
バンドを取り付けメンテナンス完了です。プッシュボタンですがグリスアップでスムーズに動くようになりました。心配なのは、プッシュボタンの固定金具が無い構造ですから、軸を差し込んだのみです。普通に使用(押すだけ)で外れる事は無いでしょうが、ぶつけたりすると気がつけば「紛失」という可能性もあります。ただ修復にはメーカー送りですから10万円は覚悟が必要です。
「TAG HEUERのページ」では殆どでパッキン交換が行われておりますが。
TAG HEUERのパッキンが劣化している事が多いのでは無く。
既製品で同サイズのパッキンが入手出来るという理由です。
他の腕時計も電池交換の度に必ずパッキン交換が必要ですが、行っておりません。
残念ながら殆どの電池交換では元のパッキンを再利用となります。
また「竜頭パッキン」の交換も不可ですから防水機能にはご注意ください。