OMEGA Speedmaster X-33 電池交換メンテナンス
2020.10.5お預かりのOMEGA Speedmaster X-33 電池交換メンテナンスです。
2015年にもお預かりの腕時計。
「バックルの不具合」もご依頼ですが後でみてみましょう。
チタン無垢バンドに三つ折れプッシュバックル。
微調整位置をチェックします。
裏蓋は9本ネジで留まっていて裏蓋記載。
ネジは洗浄します。
裏蓋の裏側もチェックして洗浄。
裏蓋を開けると中蓋がムーブメントを覆っています。
更に電池が覆っておりますから取り外しましょう。
竜頭の裏側は洗浄でここまでは綺麗に。
竜頭パイプも、ここまでは綺麗になって。
これが取り出した液晶&ムーブメント。
ケースの内側もチェックしますが異常は無く。
ケースの洗浄は終わってツヤが出ましたね。
綺麗になったケースにムーブメントを戻して電池格納部をチェックします。
電池を入れて動作確認。ELライト点灯確認も行います。
外したパーツを戻していき電池を入れて動作確認。パッキンにシリコン塗布をしてケースに戻します。
中蓋を乗せて。
洗浄して綺麗になりました裏蓋を閉めます。
時間を合わせて電池交換メンテナンス完了です。
全体的にツヤが出て綺麗になりました。
ブレスも洗浄して綺麗になったところで。
さて「バックルの不具合」ですが穴から「バネが見える」構造ですが見え無い?
プッシュボタンが片方、沈み込んだママ。
この腕時計のバックルを分解した事が無いですが、分解してみます。バックルの分解はバネが飛び出たりして厄介になるので触らぬ神に・・・ですが。
分解してみましょう。
中には特殊なバネが見えます。
バネに亀裂が入っております。
折れている訳ですが、これは修復は不可です。パーツ交換しか対応方がありませんが入手は不可です。
バックルかブレスごとかご購入頂くしかありません。
電池交換メンテナンスで時計は綺麗になりましたが、バックルが留まらないので時計として使用が出来ません。ラグ部幅「20mm」ですから革ベルトへの交換もありです。
ちなみにネット検索してみて驚き!バックルだけでも「40.000円」の値段が。
聞いた話ではオメガの場合、薄っぺらい三つ折れバックルでも25.000円はすると。
となればチタンで無垢ですから40.000円はそんなものか。
となると「このバネは何とかならないか?」と、チャレンジしてみることに。
ただ素材も堅さも分からず作る事が可能なのか?あり合わせの材料で似た形状に曲げて作ってみます。
バネが強すぎて食い付いたら離れません。(^_^;)
何種類か試しても弱すぎたりで上手く行きません。
諦めようとした所「クリップ」が目の前に。これでは弱すぎると判断しており試してもみなかったな・・・と。
少しずつ曲げていきます。
似て形状にまで出来ましたが問題はバネの幅。狭すぎるとプッシュが効かない、広いとバネがたわむ。同じ素材ではないので同じサイズでは上手く行きません。
何度か試して偶然ですが巧くいきました。
テストで留めてみますがぎこちない感じ。バネの曲がり角度、入射角などを調整してオリジナルに近い感じになりました。6時間の作業でしたがヒマで無ければ出来ない作業。
8つは作ってみましたが諦め掛けの最後の一個で上手く行きました。ただ耐久性がどこまであるのか?分かりませんから高額な修理代も頂けない 。お遊び感覚の修理でしたが意外に出来るモノだと我ながら感心しきり。ただ同じ物をもう一つと言われて出来るかどうか? という作業です。
「何故この症状が出るか?」
こういう症状が出る方は基本、バックルを押さえ込む人に多いです。単純に「開閉回数が多い」という事も原因の一つですが。留めるときに適当に押さえ込むのでは無く、噛み合わせの確認をして、そっと押し込む。またはプッシュボタンを押しながら(食い付きのバネを開きながら)閉じるとかでも耐久性は変わってきます。
「TAG HEUERのページ」では殆どでパッキン交換が行われておりますが。
TAG HEUERのパッキンが劣化している事が多いのでは無く。
既製品で同サイズのパッキンが入手出来るという理由です。
他の腕時計も電池交換の度に必ずパッキン交換が必要ですが、行っておりません。
残念ながら殆どの電池交換では元のパッキンを再利用となります。
また「竜頭パッキン」の交換も不可ですから防水機能にはご注意ください。