分解修理不可のムーブ

本日アップの「Rito Molatino」ですが分解修理でお預かり。
普通に職人さんのところへ持ち込んで分解修理が終わるのを待って取りに行って来ました。

このムーブメントでしたが。電池交換は何度もして見慣れたムーブですが。
そういえば湿気の侵入とか経年による油切れ等。
分解修理で預かった事が無いかと。

今回、針がピクピクして進まないという症状で依頼しましたが。

動くようにはなりましたが分解修理では無く「歯車の交換」。
それも何と「プラスチックの歯車」。国産でもEPSONムーブや
MIYOTAでもプラスチックの歯車は多く使われております。
強化プラスチックではあると言う事ですが、私などは”強化”と言っても
所詮プラスチックでは?。そう思うのですが。
この金属の歯車も、ホゾが細すぎてうかつに触れない細さだとか。
つまりは「分解修理する事は前提では無いムーブ」
私にはそう感じました。
(でもTAG HEUERも普通の三針タイプは、このムーブメントに置き換わっております。)

分解修理出来ないものを分解して組み立て直した訳で手間が掛かったのは想像に易い。
職人さん、私がインターネットで頑張っているので本来無理な物でも結構
手間を惜しまず作業してくださるので助かるのですが、これには驚き。
ご高齢であるのに、ここまでさせてはと恐縮というか気の毒になります。
それに万が一、再修理などとなると職人さんの手間は膨大なものに。
以前に「断るのが親切か」という記事を書きましたが。
お客様にとっても「修理代を払って、不具合が出て修復不可」よりは
最初から断っておく方が親切なムーブメントかと感じた次第。
まさか、こんな構造のムーブメントだったとは驚きました。

MIYOTAなら最悪「交換用ムーブメント」は入手出来ます。(日にちは掛かりますが)
普通のETA(良く見るブルーやグリーンが目立つムーブメント)も入手可能。
でもSEIKOの汎用クロノグラフ・ムーブ等は入りません。

今回このムーブメントは入手が出来ないとなると今後、
このムーブメントの分解修理はお断りする事になるでしょう。
見栄えは金色で綺麗でもプラスチックの歯車とは・・・。
時代がすでにそうですが、基本は使い捨ての時代。
しかし5・6万円の時計が使い捨ての時代になっていたとは。(v_v)

誤解のないように書いておきますが「使い捨て」と言っても。
お客様にとっては「保証対応」ではムーブメント交換で対応してくれるでしょう。
また「保証中」ではなくてもメーカーなら修理代金「2〜30.000円」って
普通ですからムーブメント交換しても利益も出せるしお客様にとっても
修理よりも交換の方が安心というかお得感があると思おります。

もう修理も最低ラインが30.000円以上の受付をしない限り生き残れないなと
感じた次第ですが。
わたしの場合、修理受付はMAXでも30.000円くらいしか受けていない。
となると”店の販売”を切り捨てたのと同じで、修理部門も切り捨て。
やはり流れがどうしても「電池交換メンテナンス1本」になるのです。

もうそろそろ時計から離れる計画も立てないと食っていけないな・・・
そうも思う反面、年齢的に20年先までを見通さないといけないか?
年金貰いだすまでなら、そう深刻に考えなくても。と
色んな考えがよぎったお預かりになりましたね。


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