時計屋への強盗


2017.7.28地元紙

2017年に2月に明石の「時計貴金属店に強盗が入ったという事件」があり
地元ではテレビでも放映されました。
その映像を見ると家の人を縛っての犯行だけに、店内のショーケース殆どが割られ
商品が持ち去られたというニュースです。記事にもありますが「500万円相当」です。

ただその商品を質店・買取店に持ち込んでも100万にもならないだろうと。
この事件、犯行は若い人達ですが時計屋は金になると思った事に驚き。
今の時計店は、時代の流れで変わっており強盗が稼ぎを期待出来ない時代です。

では強盗目的では無く。正当な理由で街の時計屋に期待されるものは何か?

「新品の時計・メガネ・貴金属」など、良い買い物をする。
そんな期待をされる方は無いでしょう。 では何を期待してご来店されるのか。

「電池交換」「バンド交換」「ベルト調整」「指輪のサイズ直し」
「メガネの緩んだネジ締め」「メガネの洗浄」「分解修理」などです。
私が対応出来るサービスでは5.000円までのサービスが少しと、
あとは数百円のサービスばかり。
でもお客様からみれば、他では頼む事が出来ないものばかりであり、仕方がありません。

なかでもまだ需要があるのが「電池交換」。他は無きに等しい。
実はこの私、最近「新品から5年以内の電池交換を受けた事が無く」
それは最近の時計販売店の事情で「当店で販売した時計で10年以内」の時計のみ対応。
という事が定着してきた事と販売される殆どはソーラー・ウォッチだからです。

新品を販売をしていない私の店では、新しい時計の電池交換が集まらないのは当然。
他店が断るもの、つまりは一般的には20年を越えた時計ばかり集まる構造は仕方が無い。
時計で20年の使用の物と言えばお客様「古い物」という意識は殆ど無く。

しかし、昔は高いお金を出して買った良い時計であり、簡単に捨てられない。
「電池交換して使おうか」。そう考えるのは自然な流れです。

ところが、その時計を「電池交換で受ける店は殆ど無い」というのが今の時代。
その理由は私が何度も書いている「オールド・クォーツ」と同じ理由で
「古い物は、不具合を起こしやすく、裏蓋の開閉で部品が壊れたり。
普通に電池交換しても早く止まったり。それは時計店の信用を失う行為になる」。
しかも、部品の流通が無く、調達も出来ず修理も弁償も出来ない時代です。

もう今の時代、若い方々にとっては「電池交換は新しい物のみしか対応して貰えない」
という認識が浸透している様です。
やはりイオン等のショッピングセンターの対応が「世間標準」となりのも仕方が無い。
少し前の時代には「時計屋で電池交換」という習慣が有ったことを知らない人も居ます。

そしてお客様にとって唯一のニーズ。
「電池交換」「バンド交換」「ベルト調整」を求めて時計店の看板を探します。
しかし、事情が移り変わっている事など知るよしも無い方々は。
断られると「では何故、時計屋の看板を上げているのか?」
と強引に電池交換を迫って来られる方さえ居られます。
あちこちで断わられてイライラが積もって居られます。

そこで5年前ですが私の店では「時計店の看板を撤去」いたしました。

看板を撤去したのは商品も5年前に片付けましたし、お客様が感じている。
「街の時計店」に期待されるイメージに答えられないからです。
今や「時計店」という看板を上げる事が、デメリットになる時代になろうとは。

そこで!次回に続く