オークション9話
2000年5月の参加で12月には常時出品数が100を超えました。
オークション参加前に見つけた時計屋さんのIDは常時出品数が500を超えていました。
そこまでの資本は私には無いものの200くらいの出品数は必要ですが、
出品しても売れて行きますから私の出品数は100を行ったり来たり。
不思議なもので出品数が100を切ると売り上げが落ちます。
「常に商品探せぇ〜!」状態。
売れた実績のある商品が端末上に上がってくればそれを押さえて貰おります。
商品が届けば出品は簡単です、写真や解説の使い回しが出来ますから。
でもオークションは、そんな甘い世界ではありません。
いつ見ても同じ商品では飽きられます。
常に何か新しい商品が必要です。ホームページで言うと”更新”ですか。
(この時の感覚がCooの腕時計の更新に役だっております)
たまには「こんな品番の商品がありますが要ります?」
「要ります?たって品番だけか?」
海外モデルでも慣れてくると頭3桁と下2桁で大体の仕様と文字盤カラーくらいは分かります。ただデザインは全くわかりません。
「ヨシ、買った!」
当然、写真も一から撮影ですから手間も掛かります。
質問で国内モデルの過去の品番が送られて来て「これありませんか?」
早速、電話。そして返答、落札。もちろんネットですから全国発送。
2000年5月の開始で6月には毎日3個くらいの発送があります。
最初はスーパーのサービスカウンターに預けていましたが、
だんだん不審な目で見られますね(;^_^A
スーパー側でも全国に毎日3個なんて発送しませんから。
オークションを始めた、ひと月目。裏口でクロネコヤマトのドライバーと鉢合わせ。
「お〜い、ちょっと!いつもスーパーで”送り状伝票”貰っているけど
足りないから別にくれない?」
「あなたですか?毎日3個も出してくれてたのは」
「そっ・・・そうだけど。それが何か?」
「直接、取りに行かせて貰えませんか?こちらも新規顧客のノルマがあるもので」
「おう!それは丁度良い!こちらも店まで取りに来てくれたら助かるわ!」
「それに契約頂けましたら”代引発送”も出来ますし」
「それは、まさしく好都合!」
この頃は、自分の環境が全て自然に好循環に転んで行くのを感じました。
過去最高は”一日に12個発送”。クロネコヤマトも目が点になっていました。
何たってあの”クロネコヤマト荷物受付”の旗が立ってる店でも
毎日1個の荷物も無い所が多いらしいですから。
それを一時計店が毎日、3個は荷物を出す訳ですからね(;^_^A
仕舞いにはクロネコヤマトのドライバーさんが
「ちょっと聞いて良いです?一体何やってるんですか¬_¬)」
「おいおい、やましいことはしてないぜ!」
「それは分かってますが・・・個人のお店さんで、
毎日3個も荷物出して頂ける店なんて無いもので・・・やっぱネットですか?」
「そう・・・ネット」
「やっぱりね。」
「どうしてやっぱりよ?」
「このエリアでね、毎日荷物届けるウチがあるんですよ。それで不思議に思って家の人知り合いだから聞いてみたらね、息子がネットで売り買いしてるらしいって。それでココもかなと」
なるほど・・・これだけ活況だからそんな奴が居ても不思議では無いな・・・
ある意味ネットの活況ぶりはドライバーさんが一番感じているのかも知れない。
そして、出品もしながら他の出品者も常にチェックしております。
どの様な商品が出ているのか?また、いくらが相場なのか?
一番詳しいのは”落札者”です。
兎に角はオリエント製品のみ。他社はセールスさえ来ておりませんし、
電話しても「カタログに無いものは、ありません。」と言われれば終わりです。
カタログに載っている普通の腕時計が売れるほど甘い世界ではありません。
現にそういったオークションを始めた所もありました。セイコーのカタログをスキャンしてオークションに2割引で並べている訳です。
案の定”月に1つの評価も入りません”。
そして2001年の年明けです。オークションに参加してたら正月も何もありません。大晦日も元日も”落札があります”。こちら”正月も休み無し状態”元日から発送です。
そろそろ廃業撤回から半年”廃業か融資”か決めなければいけません。兎に角は店の売り上げの落ち込み分はオークションでカバー出来ておりますが、赤字は赤字。更なる売り上げの増加が見込める商材が無い限り融資を受けても”先送り型融資”になりますから意味がありません。
やはり残念だが「廃業」しか道は無いか・・・・と思った時でした。
オークションを見ていて驚き!
何と、中古時計や機械時計のデッドストックに相場が付いている・・・
そこで父に相談です。親父も50年以上時計店をやっております。
昔気質の人ですから売れないからと、見切り処分などはしておりません。
よってデッド品や中古があるわあるわ。でもオークションの話をしても分かりません。
「兎に角メカを出せって!お金に換えてみせるから」
でも親の気持ちとしては当時の私の姿”頬がこけて病人顔”を見て、もう帰って来いと、言うのが本音だった様です。確かにこの頃はまだ”温気”が戻っておりません。夏場でも寒気はするは、普段は座ってパソコンに向かっておりますが、お客様が有って10分立って接客すると店の裏側のソファーで20分ほど寝込んでしまう有様。
しかし、目の前に”登る階段”が出現してるのに廃業しろだって!
親に迷惑掛けないでも這い上がってやるぜぇ〜!
でも私の店現状は、店員さん(私)が奥の方で座って必死の形相でパソコン睨んでいるだけです。とても声が掛けられませんね(;^_^A。よって店の売り上げは勢いを付けて落ちて行きます。
この頃を階段に例えますと、「目の前に登る階段が出現したので体力のない体で必死に登っております。兎に角は目標が出来て進んでおりますが。ふと後ろを振り向くと登った分の階段が崩れ落ちていく・・・」
もう立ち止まる事は許されない・・・(ぞっとしました)
ここからが”薄氷を踏む90日”の始まりです。
このオークション話は、ある一通のメールから始まった・・