プッシュボタンの固着

「プッシュボタンの固着修理」ですが写真の状態はお断りパターン。
この状態を見たら普通の時計屋はお断りします。
わたしも「外す時に折れたら弁償出来ませんと、お断り」でしたが。
ご了解頂きチャレンジしてみる事に。
チャレンジと言っても、プッシュボタンが折れたら?いえ折れなくても抜けなかったら?
不具合が解消されず、手間だけ掛かって費用も頂けないお預かりになります。
それが、お断りする理由というか、「受けられない理由です。」

触らぬ神に・・・って症状ですから触るだけでも勇気が要ります。
普通の時計屋はお断りするでしょう、わたしが触るという事は
普通では無く異常な時計屋という事になりますか(^_^;)

「電池交換の様子は、こちらの掲載ページで見て頂くとして」

3日掛かってやっと、ここまで抜けました。
油を染みこませて少しずつ叩き出していくので3日も掛かりました。
油を注して引き抜く事が出来れば簡単でしたが。

こういう修理は頂いても5.000円までです。手間から言えばもっと掛かっておりますが。
お客様からすれば新品の部品に交換したのなら10.000円でも納得が出来ます。
だから「部品交換が出来ない=お断り」となるのは仕方が無いでしょう。

こういうご依頼は受けたら「リスクは背負って見返りは僅か」というご依頼になります。
それはお客様には分からない事で、必至で何とか動くように出来ても、到着後。
「キズが付いている・防水機能が落ちている・プッシュボタンの動きが悪い・ガラスの曇りが綺麗に拭けていない」等々、クレーム項目が多くなる事は仕方が無い。
苦労しても有り難がられず、叱られる。だから「断っておく方が無難」となります。

無理して受けて信用まで無くすお預かりですが、
交換用の部品さえあれば比較的簡単な修理です。部品の有無によって大違いになります。
そして心配なのは錆びの症状から、お客様に到着後「即、止まった」
という場合はあり得るでしょう。
その時には、分解修理等は不可ですから「プッシュボタン修理代は無駄になります」
綺麗になったので観賞用とするしか無い修理となります。