たまたまその時計が・・

ご依頼があっても受付出来ない時計があります。

初めてのご依頼をされた方で、その時計が「たまたま受付が出来ない時計の場合」。
当然、お断りすることになります。
お客様からすれば残念であり不愉快にさえ感じる方が多いかと思おります。
「初めてのご依頼で断られる = 次回は無い」
こういう方は多いです。経験から仕方が無いと思っております。

やはりご依頼頂いた時計が受付に問題がない時計で。しかも
返送までスムーズに完了した場合は、再度ご依頼頂く機会が多いです。

困るのは、お断りする理由を問い詰めて来られる方が存在します。
至極、当然な話でもありますが、実は私からは恐怖になっております。
掲載例がある事や、状況・状態の分析までされ
「断るに納得できる理由になっていない」と迫る方さえ居られます。
この場合「お断りした以降のやり取りはスルーしております」
(私の経験から多くの方は、お断りの理由まで問い詰めて来られませんから)

つまり最初の取引でつまずけば以後、ご依頼頂く確率は殆どありません。
「その時計が”たまたま”受付不可だった」というだけです。
(偶然所持している時計が、お断り対象の物ばかり
所持される方にとっては”全ての時計を断る店となるでしょう。)
それは仕方が無いと思っております。

受付出来ない理由として
「状態が変わっている(サビ・変形・経年劣化等)」
「その箇所を触ると経験から、ろくな事にはならないご依頼」
「高確率で部品交換が必要になるご依頼で、その部品は入手不可な場合」
「不可能な予算・触れば高額になるご依頼」
「受付けるには、かなりの説明が必要で手間が掛かり過ぎる」
「触るには必要以上に神経を使う時計で、
何度かのやり取りで信頼が出来ると確信出来る安心感がある」
など。(出来ない理由を問い詰めて来るような方は論外です)

こちらも出来る限り受けておりますが。
受けるにはご理解と他人を許容する寛容性が必要である微妙なご依頼を
人間関係も築けていない人と、やり取りする訳で。
そういう依頼になっている事などお客様には分かりませんから。
強気に押されると「断っておくと決めております」

なかでも時計屋なので「直して当然」とお考えの方は、
説明する度に厄介になり後悔する事が多いです。
こういうご依頼は、神経をすり減らします。
自分が安心感を感じられない方は、お断りする事に決めております。

でもお客様には、こちらの都合が分かりません。
まして、私のサイトの中で希望する修理の”掲載事例”がある場合などは
お客様が「同じ状態だから出来て当然」と感じても仕方がないでしょう。

いずれにしろ初回でお断りすれば、高確率で次はありません。
それを承知したうえで断っております。 その度に
お持ちの時計が、違う時計で普通であれば、喜んで頂いただろうな・・・。
でも違う時計で普通に対応可能な時計なら、ご近所で済ませるだろうけど。
お断りしてから、そう思うことは多々あります。

そこは”縁が無かった”と思って自分を納得させております。
昔は一々、説明していたものですが。ネット取引の経験から最近は
「即、お断りするのが安全」としております。

親切心で説明すれば納得されるまでメールは続き。
中には話の流れを替えて、時計の触り方を聞き出そうとする方まで居ます。
多くの方は「受付不可となります」と返信すれば、納得いただく方が殆どですが。
納得がいかない”と理由を問いただされると。
”そのペースでやり取りが進行するのか?”
と不安になったり恐怖を感じることさえあります。

電池交換も、最近はお断り対象の時計が増えてきました。
これから先は、もっと増える事が予想されます。
対応出来る時計が増える事はありえない訳ですから。
他店が断る時計を受けている訳で、その時計が年々経年劣化している訳で
当然の結果で、仕方がありません。

せめてご依頼の時に「写真を」。そして
修理不可の時に備え「返却用のレターパックを入れておきます」
これだけでも違おります。(関連記事、電池抜きも参考に)

多いのは「自分で触って(何か外れた)壊れた」ですが。
告げないで送る方も居ます。でも時計をみたら分かる事ですが。
残念ながらこれも99%は返却になります。
時計屋は万能と思っておられるのでしょう。

お断り対象になりやすい時計の一例
「SEIKOのクロノグラフ」「デジタル複合時計」「CASIOの複合時計」
「雑貨ブランドのデジタル」(雑貨ブランドが分からない人が多い訳ですが)
「オールド・クォーツ」「最近のGrand Quartz」(セイコーの高額品)

お断り対象になる依頼内容の一例
「プッシュボタンのみの修理」「文字盤・針を触る作業」「研磨・磨き」
「部品取りとして予備の個体を用意し、部品の入替をご希望される方」

こういうご依頼を受けるのは必要に迫られ、限られた時のみ、ごく僅かです。