| 腕時計の電池交換を依頼する時の注意点 2004年7月(記述) |
腕時計の電池交換ですが良く店頭に”旗”などが立ててあります。
内容は「電池交換。5分で出来ます」と書いてあります。

では何故”5分”なのか?。
それはお客様の感覚をついております。
「電池交換は何処でも直ぐにして貰えるもの」と。
もし「当店での電池交換は1日お預かりになります」と書いてあったら?。
また「当店での電池交換は1時間は必要です」と書いてあったら。
電池交換するでしょうか?
やはり「すぐ出来ます!」って所に頼む事になります。
腕時計の電池交換は慣れた者なら1分~5分もあれば作業は完了します。
ただこれは簡単に蓋が開いて”電池を交換するのみ”の場合です。
実際には錆びていたり、開けにくい腕時計があったりします。
では宣伝用の旗に「5分~1時間で出来ます」と書いてあれば?
急ぐ方は立ち寄ってはくれないかも知れません。
しかし何でも5分で作業を完了されると
「FORMA4710-470176の電池交換修理」こういった事も起こりえます。
男性のお年寄りなどは”腕時計を触るのは熟練者”と。
思い込んでおられる方は、まだまだ多いです。
よって電池交換をする人が若い人の場合は15分も掛かれば
「余計な所触って壊したから修理するのに時間が掛かったのか」
とか言う方もおります。(私も20代の若い頃は良く言われました)。
先の「FORMA4710-470176の電池交換修理」の電池交換ですが、
この状況ではやはり30分は掛かります。
しかし、特には掃除しなくても動きます。
電池交換のみなら1分で作業は完了です。
これは過去3回の電池交換で一度もケースの掃除をしていない為にこうなりました。
では何故ケースの掃除されないか?。
電池交換の為にケースの掃除をする行為は、
交換する者にとって裏蓋の開閉に次いでリスクが付きものです。
掃除している時に埃の一つでもムーブメントに落とせば腕時計は動きません。
当然、依頼主側から見れば腕時計を付けていて止まったから電池交換に来た訳です。
それが動かないとなると”昨日まで動いていた腕時計が何故動かないのか?”
と保証を求められます。
止まったのは電池切れではなく、その他の理由である事も考えられますが。
では動いている状態で、そろそろ2年が経つので前もって交換に来られた場合は、
明らかに時計店の責任です。
そうなれば分解掃除をしなくてなりません。
分解掃除を外注している時計店にとっては¥800~¥1000で受けた
電池交換の為に数千円~数万円の費用が発生します。
となれば”ケースの掃除”といった危険な行為はしない方が賢明となります。
腕時計の職人さんであれば、竜頭を抜いてムーブメントを取り出し
ケースを掃除するなどの行為は難しい作業ではないでしょう。
また、分解掃除が必要になれば自分で出来ますから最悪でも
費用が発生しない訳です。(作業の手間は発生しますが)
私などは腕時計の分解掃除などは出来ません。
基本的には電池交換とケースの掃除はセットで行おります。
かなり際どい事をやっている事になりますが。
これは覚悟の上で行っております。実際はやりたくないのが本音です。
でも腕時計の為には仕方がありません。
軽い汚れの物は綿棒などで拭き取る事ができますが、
汚れがひどい場合は竜頭を抜いてから掃除しないとかなり危険です。
かといって竜頭を抜いてまで掃除したからと別途料金も頂きません。
頂きませんと言うよりも”頂けない”と言った方が正確ですね。
職人でも無い私がその程度の事で料金の請求は出来ないのです。
それに私の店は異常な人工密集地帯にあります。
腕時計職人でも無い限り表示価格以外の請求は”電池交換¥1000と
書いてあるにも関わらず理由を付けて+αを請求される”。
その噂が広まる事の方が怖いです。そんな噂はあっという間に広がります。
職人さんの店での、追加料金は逆に”しっかり診てくれる”といった
信用に繋がるようです。しかし、そうではない店にとっては辛いところですね。
「ある店に行けば分解修理が必要と言われココに来ました」と
言う方が多く存在するのも、来店されるお客様から良く聞く言葉です。
お客様がそう言って持ち込まれるのは”ここもそうでは無いでしょうね?”
と言った意味でしょう。
腕時計というもの自体が”精密機械”といった認識をもった人は少ない様です。
腕時計を家電感覚でとらえられた方で腕時計の電池交換に
”しっかり診てくれる”という謳い文句に集客の効果があるのか?
(もっとも店構えの立派な所は別でしょうが)
最近は時計店以外でも電池交換をする所は多いです。
しかし、そこに持ち込まれる電池交換の数が時計店と大差がない事実を、
私は認識せざるを得ないのです。
実際問題私の店の近くに合鍵コーナーが出来て電池交換を¥200安く設定してから、
一挙に店の電池交換の数が半分近く減少した事も経験しております。
家電の電池交換と同じく”安い・早い・上手い”が、
電池交換集客の要になる時代という事です。
これ事実(客を取られて”技術が違う!”それは負け惜しみでしょう。)
話が本題から逸れてしまいましたが、何処で電池交換するかは自由です。
ただ電池交換依頼の注意点としては。
「30分は預ける気持ちで持ち込みましょう!」
時計店に時間の余裕を与える事でケースの掃除なども、やって貰い易くなります。
いくら慣れていても焦って行う作業に失敗はつきものです。
///ちょっとコラム///
普通、腕時計の電池交換というものは行き慣れた店に持ち込むもので、
あまり知らない所に持ち込みません。私の店もかつてはそうでした。
しかし最近では他店で電池交換されていた形跡の腕時計が多く持ち込まれます。
私の店の電池交換は¥1.000です。この価格設定は10年前と変わりません。(2004年)
ところが最近は腕時計専門店は”技術のある電池交換をしております”。
と¥1500~¥2500になっているそうです。
ある人は合鍵コーナーに行けば¥800でやってくれるからココは高い。
ある人は時計店は何処も¥1500以上取るからここは安い。
私は昔と変わらず不動の価格で電池交換しておりますが、周
りの環境の変化で電池交換が減っていったり増えてみたり。
世の中何がどう影響するかわかりません。
最近は「近くの時計店が廃業したから」といった方が多いです。
これは私も”明日は我が身”です。
どこの街でも同じ現象と思われますが時計店は淘汰されております。
それも競争では無く、自然淘汰です。
街に個人の「化粧品屋」「酒屋」「八百屋」が無くなるのと同じ事でしょう。
仕事がある間は一生懸命頑張ります。無くなったら需要が無くなったという事です。
電池替えの次は、仕事替えがまっております。
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