”はめ込み式”の腕時計を電池交換修理する

次に時計の電池交換でも”はめ込みタイプ”に使用する工具です。
この工具は同じような形状の工具が数十種類発売されております。
違いは刃先の「幅」「厚み」「固さ」「長さ」「グリップの素材」などです。

写真のSEIKOの工具は使いやすいです。でもここだけの話。
以外に腕時計職人さんは、この様な使いやすい工具は使用しません。
私から見ても”この様な工具で開けることが出来るのか?”
といった工具を使用されています。
便利さよりも”慣れた丈夫な工具”これがプロの工具ですね。

「こじ開けタイプの工具」
”はめ込みタイプ”の腕時計開閉工具

この工具が「こじ開け」と言います。

”はめ込みタイプ”の腕時計開け口1

このケース側面の何処かに必ず「開け口」があります。拡大すると。
”はめ込みタイプ”の腕時計開け口2

これは、見つけやすいタイプです。

”はめ込みタイプ”の腕時計開け口3

これも比較的分かりやすいタイプです。

”はめ込みタイプ”の腕時計開け口4

この様に、かなり分かりにくいタイプもあります。
どのタイプの開閉口でも新品の場合はすぐに分かります。
ただ上記写真の様に使用した腕時計は汗や埃も付いていますから、分かりにくい。
また上記写真は「キズミ」といったルーペで見た感覚にまで拡大した写真です。
実際、肉眼でみたら分からない物が多いです。

基本は、この「開閉口」に工具を差し込みます。
工具の名前から「こぜる」と思って。差し込みながら”捻る”方が多い。
意外に思われるかもしれませんが、この工具で「突く」です。
「突く」という表現よりも「押し込む」と言った方が正確です。
突く事によって、工具先端の厚みで少し隙が空き(浮き)ます。

ただ「隙間が空く!」と言っても腕時計の世界ですから、1mmも無い世界の話。
これは指先の感覚だけを頼りに開けます。
突く事によって隙が出来て始めて、工具の先端を上に持ち上げます。
工具を捻ってはいけません。(捻らないと開かないものもありますが)
間違っても、捻りながら突いてはケースが傷だらけになります。

それと、問題は開け口を突きますが、その先には「コイル」がある物が多いのです。
次は「アナログ腕時計のムーブメント」
2004年7月(記述)2017.7.12修正