ベルト交換最短記録

2004年11月26日

時計の「皮」ベルト交換ですが、私などは慣れていますのでバネ棒が錆びていたりしなければ、交換自体は12〜15秒くらいで完了します。
しかし、普通はそれにお客様の時計のベルト幅を測ったり、説明したりも必要ですから「ベルト交換」の普通の所要時間は5分〜8分くらいです。

それが昨日、閉店前のお話です。
丁度、友人が電池交換に来ていまして。 方向は同じだし同じ電車で帰ろうかと言うことになりました。彼は途中でローカル線に乗り換えるので連絡の都合上「20時10分」の電車に乗らなくてなりません。

「一緒に帰えろか?」

「帰えろか?、ってお前10分に乗らなあかんやろ?おれの閉店時間20時やで、間に合うかいな」

「ええやんか。閉店まであと10分あるから片づけだけ先にしておいたら間に合うって、ここから
ホームまで歩いても2分やんか 」

「そりゃ〜、まぁね〜。せわしいけど。(忙しいけど)ほな、そないしょうか!」

「俺も手伝うわ」
と。釣り銭もしまって。商品に布も掛けて、後は電気を消して鍵を掛けるのみ。 閉店まで残り2分、完了!

「ただしな。一応接客業やからな閉店ジャストでも、お客さんが来たら断る事は出来ないからな、お客さん来たら諦めてよ。あと30秒やけど」

「そうやろなぁ、こんな日に限って閉店と同時に・・」

と、言ってると「ひげもじゃ」の男性がダダダッ!
「すみません!バンドください!」
と、言うと同時にカウンターに時計を置きます。

ここで彼は、諦め顔で「じゃ、また!」と軽く手を挙げて帰って行きます。

お客様、急いでいるのかいきなりベルトがずらりと並んだ中から色だけみて無造作に1本取り上げると。「これ付けてください!」と、18mmのベルトを置きます。

と、いっても幅も何も測っていないし・・・と、カウンターの時計を見ると「18mm」
一番男性用では多い幅。一番見慣れた幅は測らなくても、こちらは見ただけでわかります。
ベルトのケースを開けながら
「すみませんが、もう釣銭しまっちゃって¥2.000丁度お持ちですか?」

と、横目で見ると財布はすでにスタンバイ状態で指には札が。
こちらは、すでにベルトを取り外しています。そこから10秒。

「 はいどうぞ!」

「えっ〜、もう出来たの!。どうも。間に合うかぁ〜」

と、ダッシュで出て行きます。間に合うかぁ〜、って言ってたけどたぶんあの人も「20時10分」かな?と。
時計を見れば20時01分前。余裕だろうそれわ!と思いながらこちらは鍵を掛けてから店を出ます。そしてホームへ行くと。当然、友人が立っています。

「よっ!!間に合ったぜ!」とガッツポーズ。びっくりした顔で。

「え〜〜!!、間に合ったって・・・今、4分やで。まだ!お前、お客が来たら断れないって、断ったんかいな。俺の為にそこまで、せんでもええのに・・・」

「何、言ってるの!ちゃんと交換したよ!」

「早っぁ〜〜、交換もして4分にはホームに居る!」

「当たり前やがな、プロでっせ!わたしは」

「お客さん、バンド選んだんかいな」

「そこやねん。いきなり見もしないでなコレ!やからな。助かったは。付ける時間は知れてるからな。」

「それにしても・・一体ベルト交換って、何分で出来るの?」

「何分って。「分」も掛かったらこの時間にここに居らんで、10秒!」

「そんなに。凄ぉ!さすがプロやなぁ」

「当たり前や、店でも女性客やったら、コレ付けて。って言われてから、ちょっと会話したら。ハイ、どうぞ!やろ皆 。えっ〜、手品みたい!って言うわ。まかせなさい!プロの腕に掛かれば!朝飯前ってものよ」

そこで、20時10分。電車がホームに滑り込んで来ます。降りる乗客を待っていると、ホームの端から大きな声が!


「待ってぇ〜!!!乗りまぁ〜っす!」
思わず見ると 、さっきの「ひげもじゃ」のベルトのお客様。ぼくと友人が電車に乗って、ドアが閉まる瞬間に飛び込んで来ます。そこで友人は、 その人の顔をみて。

「おっ!久しぶり!どないしとん。」

「あっ!先輩、こんなところ会うなんて!」

「こんな所って、お前今時計屋で会ったやんか、ヒゲ伸ばしてるから気が付かなかったわ。」

「あの時の先客は先輩でしたか?すみません急いでたもので」
どうやら地元の後輩だったみたいですね。(;^_^A

後輩 (お客さま)の手には大きなスーパーのナイロン袋が。 そこで友人は

「お前、あの時間に時計屋でベルト交換して、あれからまだこれだけの買い物してきたのかぁ?」

「そうなんですよ、明日に絶対に必要な物で。時計屋さん様々ですわ。めっちゃ交換早かったですわ、これやったら買い物出来るわって思いまして」

そこでボクは横から
「先ほどは有り難うございましたm(..)m」

「えっ!時計屋さん何故ここに?何で先輩と!知り合い?」と友人を指さします。

「良かったですね。間に合って。」

「いやぁ〜、助かりましたよ。買い物も出来ちゃって〜」
と・・ひげもじゃが、買い物袋を床に降ろすと、同時に腕の時計がパラリと床に落ちます・・・・・シィ〜〜〜〜ん!
3人の視線が合います。そこで友人がぼそりと。

 

 

¬_¬)へぇ〜 、これがプロの仕事ね・・・

ちゃんとバネ棒が入っていなかったのか?時計の上にスーパーのナイロン袋を提げていたので降ろすときに時計が捻れたのか? 早速、その場で早速修理。ベルトを引っ張って外れない事を確認して。

「ハイ!どうぞ、良かったですね。時計屋が同乗していて」

「いやぁ〜、ほんと何から何まで助かります、有り難うございました」
と、横から友人が。

 

何で感謝されるの?

「お前、自分のミス修正しただけやないの?」


「オイオイそれは違うで。それは!時計が捻れただけやがな」

「いやいや、プロでしょう?。それやったらそんな言い訳はいけません。ミスは認めましょう」

「まぁねぇ。でもな仮にミスとしてもお前が急かすからこうなったの」

「えっ〜、俺のせいかよぉ〜。なんでこっちに振るねん」
今度は、矛先が後輩に向かいます。友人は後輩に向かって。

「いや、俺のせいではない。根本的な原因はこいつが閉店時間ギリギリにベルトを買いに来るのがそもそもの間違!」そこで後輩が

「申し訳ございません。私がベルトを買ったが為に皆さんにご迷惑お掛けしました様でm(..)m
って、なんでそうなるの!」 (面白い奴っちゃなぁ)

これで全て円満解決?(^_-)-☆
それから、「一杯、飲むかぁ〜!」と”ローカル線乗り換え駅”で3人共、降りてしまって。
居酒屋に!( ^^)/▽☆▽\(^^ )

皆でワイワイ飲んで仲良しに。結局終電近くになったので、お開き。友人は後輩に

「お前のせいで、こうなったからお前が支払え〜」

「 いえいえ、時計屋さんが仕事をちゃんとしていないせいです」

「いいや!こいつが、一緒に帰ろって寄ったから!」

皆、単なる酔っぱらい。ヽ(。_゜)ノ

 

3人とも必死で「20時10分」に乗ったのは何だったのだろうか・・・??

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