時計や!
「2005年4月4日」
先日、おじいちゃんが電池交換にやってきます。杖を突いてちょっと足下がおぼつかない。店に入って来ますが、いきなり店の奥の方へ・・・
「あの〜、いらっしゃいませ・・何か?」そのまま、こちらに向かって歩いて来ますが無表情。
「ご用件は何でしょうか?」
「・・・・・・」
耳が遠いのか?ちょっと大きな声で
「ご用件は?」
こちらをじっと見つめて、杖を突く手と足が震えております。
「・・・・・・」
「あの〜 ご用件・・」と言おうとしたら。
「時計や!」
「はぁ、ハイ。止まりました?バンドですか?」
返事はありませんが・・・、いきなり上着(背広)を脱ぎ始めます。
「あの〜電池ですか?バンド?」
無視して上着を脱いでおります。次にベストも・・・こちらは、慌ててお手伝いを。
「ハイ、どうぞ。上着はこちらに置きますね」
「・・・・」
無言でワイシャツの袖のボタンを外し出しますから腕時計を外すのかな? と見ると、腕には時計は無い!?????鞄も持っていないが・・・?
「電池!」
「あぁ、電池ですね、で、時計は・・・」
「ポケットや!」
「ポケット?おズボンのですか?」
「上着」
ややこしいなぁ。上着を脱いだ意味は?・・・では、と。ポケットから時計を取り出して
交換してお渡し。今度は腕に着けてから、ベスト、上着と着てから。ふらふらと杖を突いて出て行きます。出口までお見送りしながら。
「ありがとうございました!」と言うと。 振り返って。
「訳わからん店やな」
「・・・・??」
それはこちらのセリフです!
いったい、あの爺さんの頭の中では店に入ってから出るまで、どの様なストーリーになっていたのか・・・
一気読み次は「合っていない!」