物忘れ

「2006年10月6日」 

今の店はダイエーと違って個人商店で親父が高齢ですから、やはりお客様も、ご高齢者が多い訳です。

「ちょっとバンド替えてか」

「ハイ、いらっしゃいませ!革ベルトでしょうか?」

お客様親父の顔見て。

「おっ!おっさんまだ生き取ったんか嬉しいな」

「生き取ったって、あんたの方が年上でっせ」

「ほんなこと無いわ・・・わしが裏の鉄工所に来よった頃やで」

と、延々と昔話が続きます。10分も続きますと相づち打つのも疲れてきますから。

「で、ご主人、替える腕時計はどちらに?」

「おっ、そやそやバンド替えに来たんやった、これやけどな」とポケットから出て来たのはG-SHOCK。しかもウレタンバンド。

「あの・・このベルトはウチでは無いのですよ」

「なんでや?ここで買った時計やのに替えバンドも無いんか?」

「いえいえ、ウチでは売ってないです、ハイ」

「何でや、買うたがな」

「いえいえ、ウチはカシオの商品は扱っておりませんから」

「そんなこと、あらへんがな。時計はここでしか買うたことないで」

「いえいえ、何か勘違いでは?。カシオの腕時計はメーカーと取引がありませんから仕入れようもありません。つまり売る事も出来ません」

「そんな事無いがな・・・あんたら若いから知らんやろけど大分前に買うたって。親父さんなら知ってるやろ・・確か・・・もう・・・30年くらい前かな」

親父「そうでっか・・・30年前に・・買うて貰いましたかな・・・」

「おっさん、覚えてないか?」

私「あのですね、30年前にG-SHOCKは、この世におまへん!」

親父「そうやったんかいな・・・触って無い(扱ってない)時計やから年代がピント来んなぁ・・・」

「いや・・・ほな20年前やろか・・・」

「だから年代とかの問題では無くて取り扱いが無いのです」

「それはええわ、それで何時になったら入るんや?」(☆。☆)

「だからですね仕入れようもないメーカーなんです!」

「そこを入れるんが、あんたら若いもんの腕やろ」

もうこっちの頭がおかしくなりそうな雰囲気ですが。そこで親父がピシャリ!

 

 

 

 

あんたね、私と歳かわりまへんやろ。もう、だいぶん惚けてまっせ。

薄ら惚けちゅう奴で、私も一緒でんがなぁ!

ハッハッハ・・・

それで片づくんかいな・・・年寄り同士はええな・・・(v_v)

 

一気読み、次は「耳が遠い」