CASIO OCEANUS OCW-S1000/4766 プッシュボタン修理
2018.6.16お預かりのCASIO OCEANUS OCW-S1000/4766 プッシュボタン修理です。
4つのプッシュボタンですが、3つが固着してビクともしません。
チタン無垢バンドに三つ折れプッシュバックル。
このボタン以外は固着して不動です。
まずはバックルから開きたいですが、このバネ棒も固着して不動。かといってラグ部のバネ棒も固着しており。このラグ部の方が外す事が厄介ですから、バックルのバネ棒を潰すことに。
問題はこのバネ棒の代替え品があるかどうか?
バックルの汚れもチェックします。
バネ棒が潰れて凹んだままになりましたが、洗浄で修復する可能性に賭けます。
裏蓋は4本ネジで留まっていて裏蓋記載。
ラグ部のバネ棒ですが、片方は何とか外せましたが片方が問題。
「バネ棒交換」もご依頼ですが、最悪はプッシュボタンのみ修理となるでしょう。
裏蓋ネジですが、この状態ですが意外に簡単に外れましたので、何処か他店に修理に出されて「お手上げ」で戻されてきたものか?
裏蓋の裏側もチェックして。
これがムーブメントで。
ムーブメント拡大。ムーブメントに湿気が及んでおりますがムーブメントにサビの影響は無く。
これが取り出した文字盤&ムーブメント。
ケースの内側もチェックして。
固着したプッシュボタンですが、内側からみればかなりのサビです。
潤滑油を注して、数時間置きます。
数時間置いてもビクともせず。
こうなれば、丸ごと洗浄して振動でサビを崩壊させたいですが。
目盛リングがあるので、そのまま洗浄は出来ません。
片方のラグ部は外せましたが、もうバネ棒は使い物になりません。
動くプッシュボタン一つ。これだけ先に外します。
さて、どうする?再度注油して数時間置きます。
目盛リングにオイルが付かないように、厚紙をガラスの裏側に貼り付けて注油します。
これで3時間置いて固着の2つは外れました。
かなりのサビですが、シャフトは折れて居らず。これが折れたら私ではお手上げ!
部品があるメーカーでしか対応は不可でしょうが最低でも20.000円は掛かるでしょう。
プッシュボタンの格納部をチェックしますが、黒いゴムの様なものが貼り付けてあります。
こちらも、プッシュボタンを押し戻すバネが無い構造ですから、その役目か?
プッシュボタンの裏側にも黒いゴムの跡が。
これはもう洗浄で流れ落ちるでしょうし再現は無理です。
さて、残った一つのプッシュボタン。外れませんから最後の手段、洗浄ですが
目盛リングがあるので、そのまま洗浄は出来ません。
出来る限り避けたい作業「ガラスの脱着」。
これで遠慮無く洗浄が出来ます。写真は10回くらい洗浄し直してプッシュボタンは外せました。
問題はラグ部のバネ棒。ビクともしませんから、たたき割ります。
弓環の片方の隙間が大きくなりましたが、バネ棒が割れた証拠。
先端が穴に刺さっていない事が分かります。
先端がラグ部の穴に折れ込めば、納期が一日延びますが、折れ込みを外す事が出来ました。
バネ棒は交換します。
ケースの洗浄は終わってツヤが出ましたね。
10回以上は洗浄し直したので、プッシュボタンの格納部もピッカピカ!
プッシュボタンをセットして、ムーブメント側のバネで押し戻す力に頼りますが
プッシュボタンがストロークするか?
弓環も洗浄して綺麗になりました。
バネ棒が通るパイプ部分も綺麗にします。
新しいバネ棒を装着しますが、勿論普通のバネ棒では太過ぎて入りませんから
少し細いものを採用ですが、一番細いバネ棒では強度が足りませんから探すだけでも時間が掛かります。
洗浄したプッシュボタン。
裏蓋ネジも洗浄して綺麗になりました。
目盛リングとガラスを戻します。
綺麗になったケースにムーブメントを戻して、プッシュボタンがストロークするかチェックします。
問題無さそうですから、外したパーツを戻していきパッキンにシリコン塗布をしてケースに戻します。
パッキンも交換と思いましたが、スクリューバック用のものよりも柔らかく。
替えない方がよいと判断します。
バンドを取り付け洗浄&プッシュボタン修理完了です。今回のご依頼ですが10.000円までなら。と言う事ですから受けつけました。10.000円にはならないですが、今回のくらいの手間で5.000円です。
結局、この時計1本に一日掛かりきりですから。それにメーカーではムーブメント修理セットでしか受けないでしょう。よって、こういうご依頼で「3.000円以内」とかのご依頼では「断っておくのが無難」となります。
これ直ったから良いものの、プッシュボタンのシャフトでも折れたら?
全ての苦労は水の泡の一か八かの受付ですね。
「TAG HEUERのページ」では殆どでパッキン交換が行われておりますが。
TAG HEUERのパッキンが劣化している事が多いのでは無く。
既製品で同サイズのパッキンが入手出来るという理由です。
他の腕時計も電池交換の度に必ずパッキン交換が必要ですが、行っておりません。
残念ながら殆どの電池交換では元のパッキンを再利用となります。
また「竜頭パッキン」の交換も不可ですから防水機能にはご注意ください。