SEIKO Chronograph V657-8120 電池交換 & プッシュボタン

2020.12.25お預かりのSEIKO Chronograph V657-8120 電池交換 & プッシュボタン修理です。「5.000円まで」の選択でご依頼でしたが、作業を途中で「無かった事」にも出来ず、プッシュボタンが交換に至り6.000円となった例です。

プッシュボタンをチェックしますが’2つとも固着状態。

ステンレス無垢バンドに三つ折れダブルロック。

微調整位置をチェックします。

回転ベゼルも固着ですが解消出来るか?

裏蓋はスクリューバックで裏蓋記載。

バネ棒が堅く力を入れると先端がラグ部の穴に「折れ込み」ました。さて困った、どうやって除去するか?

裏蓋の裏側もチェックします。

これがムーブメントで。

ムーブメント拡大。

作業の前に電池を入れて動作確認。その前に電池格納部をチェクします。

竜頭の裏側の汚れをチェックして。

竜頭パイプも、チェックします。

これが取り出した文字盤&ムーブメント。

ケースの内側もチェックします。

バネ棒は2本とも後で交換します。

プッシュボタンの裏側をチェックします。

丸ごと洗浄する為にも目盛リングがあるので、そのまま洗浄は出来ません。そこでガラスを外します。

片方は15分くらい掛けて外れました。

兎に角は洗浄します。

ある程度さびは削り落としてから洗浄します。

ケースの洗浄は終わって綺麗になりましたが。

プッシュボタンはビクともせず。

ある程度までは叩き出しますが、このストッパーを差し込む溝を潰しては使い物にならない。「注油(時間をおいて)→叩き出し」の作業を5回繰り返しますが微動だにしない。

こうなればキズが付きますが外から揺すって隙間を作り、注油し直します。これも5回繰り返して。

やっとここまで引き出せました。普通ならあとは引けば抜けますが、微動だにしない。再度5回繰り返し。

ここまで抜けても固着しております。

油を注すと錆が溶け出ました。

やっと抜けましたが、このプッシュボタンを抜くために30時間を要しました。

こちらも削って洗浄します。

ケースの洗浄は終わってツヤが出ましたね。

プッシュボタンが干渉しない程度には洗浄できました。キズが格闘のすさまじさを物語っております。

こちらは15分で抜けた側。

竜頭パイプも、ここまでは綺麗になって。

プッシュボタンも洗浄して綺麗になりました。

問題はこちら。凸凹になりました。

頭と軸の接点にストレスが掛かりすぎ最後は叩き出しましたので、ストッパーの溝が潰れました。洗浄したケースに差し込んでストロークのテストをしていると。

折れました!今までの苦労は何だったのだ・・・。仕方が無く、ガラ箱から代用品が無いか探します。1時間ほど探して見つかりましたが。

長くて頭が飛び出ますが仕方が無い。

目盛リングとパッキンを装着して。

ガラスを装着。古いのでガラスの装着もパッキン縮んでおり危なかったですが何とか入れました。これ仮にパッキンが潰れると「お手上げ」ですから接着剤固定になります。

竜頭の裏側は洗浄でここまでは綺麗に。

綺麗になったケースにムーブメントを戻して電池格納部をチェックします。

パッキンにシリコン塗布をして裏蓋に戻し。

全体的にツヤが出て綺麗になりました。

ただ「プッシュボタンの飛び出し」が気になります。余りにも美観を損ねる。

先ずはゼロ位置合わせが必要ですから。

ゼロ位置合わせを行って。

再度、ムーブメント取り出しでプッシュボタンを外して先端を削り短くします。

これだけ分、削って。

これなら違和感は無いでしょう。ただし「プッシュボタンの防水機能は無い」と思って使った方が良いでしょう。

ブレスも洗浄して綺麗になりました。バネ棒は交換します。

バンドを取り付け電池交換メンテナンス&プッシュボタン修理完了です。あと回転ベゼルは完全固着でどうしようも無い。接着剤で固めてあるようです。 あとベルト調整「1コマ外す」というご依頼も有る事に編集していて気がつきまして。後から作業しておりますが、これが厄介で「抜けた割りピンは1本のみ」。錆で固着して居る訳ですが、ベルト調整するには最低2本を抜く必要があり。今、油に漬けております。

写真の下側のバックル側を漬けておりました。「ベルト調整する側」(理想はこちら側)

昨夜、抜けたという割りピンも正確にはここまで。

こちらを油に漬けておりましたが結局は1本も微動だにせず。こちら側は諦めますが、割りピンが戻せません。結局は抜いて交換です。

微調整位置を奥まで詰めて対応出来ないか?と移動してみますが。

これではバックルの尻が浮いてしまいます。

こうなると「外せる側」でベルト調整するしか無く。この状態に出来るまでが30分、戻すのに15分と大変でした。このブレスはベルト調整不可の状態と言えるでしょう。

大した事はしていないのですが、大した仕事以上の時間が掛かる手間でしたが。昔から時計の職人さんは修理料金の相場は「サビ三倍」と言う意味が良く分かります。最近ではこういう事になる可能性があれば「断る」というのが常識でしょうか。こちらで受付は可能ですが、サビ三倍とは言わないまでも「二倍」くらいは頂きますので宜しくお願いいたします。
というか「返却する方が多くなるでしょう」。触り始めた限りは途中では止められない作業でもあります。

 

 

「TAG HEUERのページ」では殆どでパッキン交換が行われておりますが。
TAG HEUERのパッキンが劣化している事が多いのでは無く。
「交換用のパッキンが入手出来る」という事です。
更に普通のOリング形状ですから既製品でも合わせる事が可能。
他の電池交換も必ずパッキン交換が必要ですが、入手出来無い為に交換出来ません。
残念ながら殆どの電池交換では元のパッキンを再利用となります。
また「竜頭パッキン」の交換も不可ですから防水機能にはご注意ください。

BRANDJAPANCASIOG-SHOCKその他不動修理受付不可