SEIKO Hi-Brid H357-5090 電池交換メンテナンス

2020.4.20お預かりのSEIKO Hi-Brid H357-5090 電池交換メンテナンスです。正確には電池交換では無く「プッシュボタンの固着解消」がご依頼です。

 右のプッシュボタンは沈み込んだママ。左側も少しは動きますがボタンは効いておりません。

ステンレス無垢バンドにスライド・バックル。

裏蓋は”はめ込みタイプ”で裏蓋記載。

裏蓋の裏側もチェックして。

まずはブレスを外しますがバネ棒も錆で固着しており、壊して外します。

これがムーブメントで。

ムーブメント拡大。

パッキンを外して劣化具合をチェックしますが硬化して使い物になrません。

竜頭の裏側は洗浄でここまでは綺麗に。

竜頭パイプも、ここまでは綺麗になって。

これが取り出した文字盤&ムーブメント。

ガラスの内側に水滴が付いており拭き取りたい。そしてプッシュボタン内側には錆が付着しており。ケース毎の洗浄は必須となります。ただこの白いプラスチックの部品が邪魔です。たわめて差し込んであるのみなので外しますが。

加水分解が進んでおり、端を押してたわめると細い部分が簡単に割れます。作業を取りやめるか考えますが・・・ここまで来たら引けない。

何とか形は分かる程度には残りました。(^^;)

プッシュボタンを内側から見ますが錆び付いております。

ストッパーを外せば金属のストッパーが割れましたので後で交換します。

プッシュボタンの軸まで錆びていたらお手上げでしたが、ソコは問題無く。

パイプ側もチェックします。汚れでビッシリ。

錆の粉末を掃除してケースごと洗浄します。

プッシュボタンの汚れもチェックします。

まるでパッキンが装着してあるように真っ黒。

写真では分かりにくいですが水滴がベッタリですから、拭き取る程度は駄目で洗浄して乾燥させる必要があります。

鉄粉も散っておりますしね。

ケースの洗浄は終わって綺麗になりました。

竜頭内側もピッカピカ!

プッシュボタンの内側も綺麗になりました。

さて、プッシュボタンを装着して押し込めるか?

プッシュボタンの内側には錆が残っておりますが、押せてさえ問題は無いです。

プッシュボタンを片方、装着してみますが押し込めません。これは錆が何層にも積み上がって底上げされております。洗浄後ですがもう一度、手作業でほじくってサビ落とし。

こうなりますので、再度洗浄し直します。

まだプッシュボタンは奥まで押し込めず。再度、削ります。

まだまだ、錆は出て来ます。

ここまで来ればストロークには問題無いでしょうが、もう維持で綺麗にしたいところ。

でもこれが限界でした。

でも甲斐あってプッシュボタンのストロークはスムーズに。

ただ、このプラスチックの枠だけは残念。戻すときも割れないか神経を使います。

綺麗になったケースにムーブメントを戻して電池格納部をチェックしますが・・・。赤い絶縁フィルムの下で水滴が波打ち。

絶縁フィルムも外して綿棒で拭き取って一晩乾燥させます。ただ正常動作品だっただけに。
乾燥させる事で不具合が発生する可能性が大きくなります。
かといって、あのままではいずれ、歯車が錆びてくるでしょう。

乾燥させている間、2時間毎に強制運針器で張りを回します。歯車の隙間の湿気で錆が浮いたら不動になりますから。

一晩置きました。

絶縁フィルムも戻して。さぁ、緊張の一瞬、動いてくれるのか?

問題無く表示してアナログも動き出しました。

ただ、割れたのは残念。

裏蓋も洗浄して綺麗になりました。

パッキンは交換してシリコン塗布をし裏蓋に戻し。

時間を合わせてプッシュボタンの動きと竜頭の段引きもチェックします。どちらも問題無く機能し時間合わせは問題無く行えます。ただ、このガラスパッキン。黒い部分ですが恐らくカスカスになっているでしょうから防水機能は落ちております。このパッキンだけはパーツがありませんから、そのままです。洗浄の後にエアーを噴いて水滴を飛ばしますが、それも出来ず。風圧でガラスが外れるかも?。また外れたらもうパッキンが無く、装着も出来なくなりますから。

全体的にツヤが出て綺麗になりました。

バネ棒は交換。

ラグ部ですがブレストラグ足の幅が合っていない。

フィット菅を付けておきましょう。

これでピッタシ。

バンドを取り付け電池交換メンテナンス完了です。このブレスも30年分の汚れが溜まっており5・6回洗浄し直してやっと汚れが出なくなりました。「非防水」の時計としてデリケートに使って下さい。

今回、パーツの破損がありましたが、古い時計はこういう事が起こり得るので「取り扱い不可」とか「修理対象外」という扱いになります。それを無視して作業は致しますが壊れても責任も弁償も不可ですからご注意ください。

 

SEIKOの古いクォーツ時計ですから電池交換で動かない場合は「分解修理」となります。
その場合の費用は10.000円〜30.000円くらいの予算をご用意頂かないと
受付さえ出来ません。
また分解修理して動いたとしても、各所の部品の摩耗もあり
その後10年とかの使用には無理があります。
また問題は電子部品の不具合。これは部品ごとの交換しか対応法がありませんが
もう古い部品ですから存在しません。
存在しても、それは何十年も悔過した新品です。 よって分解修理で動いても、
その直後に「電子部品の不具合が出た場合は修理の費用が無駄になる」
そのリスクはご了解頂かないと後悔する事になります。
よって古いクォーツは「電池交換で動けば使える時まで使えばOK」と
割り切って使用される事をお勧めします。

「TAG HEUERのページ」では殆どでパッキン交換が行われておりますが。
TAG HEUERのパッキンが劣化している事が多いのでは無く。
「交換用のパッキンが入手出来る」という事です。
更に普通のOリング形状ですから既製品でも合わせる事が可能。
他の電池交換も必ずパッキン交換が必要ですが、入手出来無い為に交換出来ません。
残念ながら殆どの電池交換では元のパッキンを再利用となります。
また「竜頭パッキン」の交換も不可ですから防水機能にはご注意ください。

BRANDJAPANCASIOG-SHOCKその他不動修理受付不可