TAG HEUER CG-1111-0 プッシュボタン電池交換メンテナンス
2021.2.27お預かりのTAG HEUER CG-1111-0 プッシュボタン電池交換メンテナンスです。8時位置のプッシュボタンが堅く、他も堅い目という事ですが。
プッシュボタンを押してみますが普通です。堅いというか引っかかりがある感じ。
反対側もチェックします。問題の8時位置ですが。堅いというか”カクン!”というバネが無く押し込まれてしまう。これはプッシュボタンでは無く「内部のレバーの金属疲労」。
裏蓋はスクリューバックで裏蓋記載。
ラグ部の革ベルトとのジョイントコマとラグ部ピン。バネ棒も外して洗浄します。
ラグ部の汚れもチェックします。
裏蓋の裏側もチェックして。
これがムーブメントで。
ムーブメント拡大。湿気の痕跡も無くサビは見られません。強いて言えば長く一定環境で放置されてきた雰囲気。
竜頭の裏側は洗浄でここまでは綺麗に。
竜頭パイプも、ここまでは綺麗になって。
ただ竜頭パイプに黒い帯が残っておりますが、パッキンが溶けている症状。
竜頭を洗浄すると黒い物が流れ出しておりますが溶けたパッキンです。これはもう「防水機能は諦めた方がよいでしょう」。竜頭ごとの交換をしない限り修復は不可です。
これが取り出した文字盤&ムーブメント。
ムーブメント側のレバーが押しても戻りません。金属疲労で曲がっております。引き出してみますが折れそうなので、触る事は断念。
ケースの内側もチェックします。
プッシュボタンをチェックしますがサビも無く、グリス切れでも無くスムーズに動きます。
プッシュボタンには異常は無いと言う事になりますから外してまでの洗浄は無しとします。
目盛リングがあるのでプッシュボタンを外してもケースごとの洗浄は出来ませんし。
裏蓋を閉めてまるごと洗浄して浸水が無いかチェックします。洗浄程度では浸水は無かったですが過信すると「今まで異常は無かったので普段通りに使っていたら曇ってきた」という事になります。
ケースの洗浄は終わってツヤが出ましたね。
綺麗になったケースにムーブメントを戻して電池格納部をチェックします。
一応、パッキンは交換してシリコン塗布をしてケースに戻します。ただ竜頭を替えないと防水機能は安心出来ない状態です。
全体的にツヤが出て綺麗になりました。
ゼロ位置合わせはピンセットで針を摘まんで合わせます。プッシュボタンはもう押さない方が無難。全体的に金属疲労があり折れるまでは無くとも、8時位置と同じ様になる可能性があります。プッシュボタンを接着剤等で固めるのもありなくらいです。ちなみにストップウォッチ操作では針が「ピクピク」して進みませんからクロノグラフ部分の不具合もあります。直すなら「竜頭交換もして」となりますので10万近くなるでしょう。ただ、セナモデルは、メーカーでも「修理対象外」です。
コマやバネ棒、ラグ部ピンも洗浄して綺麗になりました。
ベルトのジョイントコマを取付。
時間を合わせて電池交換メンテナンス完了です。
「TAG HEUERのページ」では殆どでパッキン交換が行われておりますが。
TAG HEUERのパッキンが劣化している事が多いのでは無く。
「交換用のパッキンが入手可能、それだけの理由です」
更に普通のOリング形状ですから既製品でも太さ・径が近ければ合わせる事が可能です。
他の電池交換も必ずパッキン交換が必要ですが、入手不可です。
よって殆どの電池交換では元のパッキンを再利用する事になります。
また「竜頭のパッキン」もですが、劣化していたとしても放置となります。
このムーブメントは電池交換後に不具合が出る場合「ムーブメント交換」対応が可能です。
このムーブメントは電池交換後に不具合が出た場合「分解修理等、対応不可」です。
「パッキン交換」(2016年現在)