よくある質問/タグホイヤー(TAG HEUER)/紹介に至った経緯。

「ベルトの緩みを自分で直すなら」と言う事で紹介いたしましたが
何故そうなったか?の紹介です。(2004年7月(記述)

簡単に「かしめ修理の手順」を言うと。

1.先ずはブレスを本体から外す。
 (外さないと、かしめる時の衝撃でケースが器具とぶつかりキズが付くからです)
2.バネ棒が錆びて外れない場合はムーブ取り出しでケースを洗浄。
3.次ぎにムーブを取り出してケースやブレスのバフ掛をします。
4.ブレスが既にバラバラの場合は先にかしめ修理です。
5.バフ掛けの黒いコンパウンドの汚れを落とすために洗浄。
6.この洗浄でかしめが緩まないか強度テストも兼ねてです。
7.以前、接着の場合は洗浄で接着が剥がれていたのですが。
8.かしめ修理で締まらない場合は「接着剤補強」

の順番ですが最終手段の「接着補強」の後に洗浄器で洗浄を試した事が無いのです。
ところが2010年7月、同時に2本のかしめ修理が送られてきました。
1本は「かしめ修理の再修理」もう1本は「緩んだ箇所が多数でピンの摩耗が激しい。
よってかしめでは締まらないパターン」の2本。
偶然「かしめ修理では締まらない物が2本届いた」のです。

例えばこの方「かしめ修理後1年半で再かしめ」のご依頼でした。
現状を依頼時に添付写真で送って頂きましたので確認した所、ピンは残っていて
途中で折れてはいない様に見えたので、お預かりしましたが
届いてみたら写真の様に短い(;_;)。

 

○の箇所ですがピンがコマの中まで突き刺さっていなる構造ですが届いていない。

ピンの端には溝があって、差し込んだ時にその溝の箇所をかしめて留めます。
その溝が掘ってある先が折れて紛失している訳です。

この場合はピンは入れ替えるしかありませんが。わたし金属加工までは出来ません。
残っているピンは抜いて(といっても抜けない物が殆どですが)
代用のピン(タダの棒を長さを合わせて切ったのみ)を入れて差し込み直しました。
でもかしめ修理では締まらず本来は返却となります。

 

でも以前にもかしめ修理のご依頼を頂いておりますし返却も悪いので
せめて接着で留めて使える所まで使って頂けたらと
接着を思い立ちました。
今まで接着と言えば練り合わせの接着剤でしたが。

先日、ホームセンターで見つけたので試してみようかと数滴垂らして接着。
ところが意外な強度に驚き。
言い換えれば、かしめ修理した時よりもシッカリしている様な感じ。
そこで同じ日にも1本の「かしめ修理」のご依頼。

こちら5箇所くらいが外れているのとピンの摩耗が激しくバラバラ。
ピンが折れてはいないもののかしめ修理で締まらないパターン。
そこで接着で試してみると見事な強度で仕上がったでは・・・。

ただ耐久性の問題、何ヶ月・何年も持つのか?。
これは実際に使って頂いてお知らせ頂くしかありません。

意外な強度に驚いたのと同時に「これなら誰でも簡単に出来る事」と思い立ち。
「自分で直す方法」として紹介するか!と決めました。
これなら接着剤を垂らして爪楊枝などでコマの隙間に馴染ませるのみ。
いえ爪楊枝が無くとも垂らすのみで”毛細管現象”で適度に広がってくれます。
それに瞬間ですから長く固定する必用も無しです。
これで耐久性も備われば「かしめ修理」は廃業に追い込まれます。
でもこちらでは「電池交換メンテナンス(バフ掛け&洗浄)」
として費用を頂くのが本業ですからそれで良いかと。

こんな簡単に付いて新品交換の費用35.000円が浮くなら助かる人も多いかと。

補足
「コマが緩んだくらいなら隙間に接着剤、バラバラになった物は
ピンが入る穴にも少量、接着剤を垂らせば万全でしょう」
ただ先にも書いた「耐久性の期間」これがまだ定かではありません。(2010年7月現在)