H.STERN 電池交換
2018.11.29にお預かりのH.STERN 電池交換です。
2ヶ月のお預かりになったのも「裏蓋ネジ」の不具合。
遊び革の状態もチェックします。というか革ベルト同梱で交換もご依頼です。
裏蓋は4本ネジで留まっていて裏蓋記載。
交換用、革ベルトも同梱です。その前に、電池交換で動くかどうか?
革ベルトは外した方が作業が行いやすく外しますが錆びておりますね・・・。
ネジも固着しており、回した事で折れ込んで仕舞わないか心配。
センターラグピンが錆びて膨張しており裏蓋と一体のパイプから抜けません。
ピンが不動では革ベルトが外せず。
強引に革ベルトはくぐらせて外すしか無いでしょう。
あとは潤滑油を染みこませて時間をおくしかありません。
パイプの太さの割にネジが細い。
さて裏蓋は4本ネジで留まっておりますが、どれもネジ山が潰れており。錆びて固着状態にあると思われます。これも潤滑油を挿してじばらく置きます。
その間に尾錠も外しますがこれもサビで固着状態。
ここからバネ棒が動きません。
裏蓋ネジですが3本は何とか回す事が出来ましたが1本は全ての術をつくして不動。
よって「諦めて頂くしかありません」。こちらも費用は頂きませんが。
修理センターさんへ託す方法もありですが、外注になりますから「ネジ抜き」だけでもかなりの割高な費用になります。
それよりもケース部分は無く、ガラスがケースの役目を果たしており。ネジ抜きのためにケースの保持する作業がガラスを保持する事になるでしょうから割れてしまう可能性大。
おそらく修理センターさんは「断ってくる」とダメ元で送ってみます。
数週間で見積もりが出ました。
やはりガラスが割れたらゴメンナサイで、そのまま返却を了承頂き。
費用は1万近くは予算をみてくださいと。それとおそらくネジは使い物にならず
既製の似たネジに交換でネジ代金2.000円も別途、掛かりますという事に了解。
こういう作業は私らも同じで、費用や作業に制約が付くなら「お断りする理由」が出来ますが、全て了承されてはやるしか無い。壊れてから、ゴメンナサイで落胆させて費用も頂けず。
最悪のパターン覚悟での作業になりますが、決めた以上は心を鬼にして突き進むのみ。
正月を挟んだので2019.1.17日、修理センターさんから戻って来ました。
結果、ネジ代金2.000円込みで9.000円で対応頂けましたが、心地よい作業では無かったでしょう。また、ついでに電池交換もして頂きましたが、作業の流れから「電池交換は私が」と言うのも失礼です。
さて修理センターさんから到着して開封すると止まって下りまして。
寒波が来ているので搬送中の冷え込みで止まった様です。
そこで強制運針器に掛けてみますと動き出しましたので「要・分解修理」の状態です。
ただ一応、強制運針器で動き出したのと、修理センターさんも分解修理は受けても保証が出来ないので、受けたくは無いでしょう。
私もまだ中を見ていないので錆び付いていないかだけ確認しておきましょう。
ムーブメントは綺麗な状態で湿気やサビはありません。綺麗過ぎるが、ゆえに油が回っていない状態でしょう。
ピンボケましたが「液漏れの」の痕跡が見られますから、電池を内部に長期間放置したがゆえですから仕方が無い。一応は「洗浄コース」でのご依頼ですが、状態が良くないので無闇にムーブメント取り出しは行わない方が無難でしょう。
さて、裏蓋ネジが抜けて開ける事が出来、時計が動いたのでようやく、革ベルトを加工します。
尾錠も入れ替えて革ベルト交換は完了。
寒いあだいは当面、止まったり動いたりと思いますが、不動になった時点で分解修理までするか?するなると、修理センターさんに受けてもらえるか?その時の判断になります。もう現状で10.000円は掛かっておりますから最悪、分解修理不可となれば今回の費用が無駄になります。
それだけに私も費用は頂かず、この件に関しては、お客様に2ヶ月もお待ち頂き。
私は「革ベルト交換費用の500円」を頂くのみのお預かりとなります。
古いクォーツの電池交換ですが、こういう類似した事例が多くなってきました。
こういうご依頼が増えるに連れ、電池交換の受付の限界が来てる事を実感する事になります。
「TAG HEUERのページ」では殆どでパッキン交換が行われておりますが。
TAG HEUERのパッキンが劣化している事が多いのでは無く。
既製品で同サイズのパッキンが入手出来るという理由です。
他の腕時計も電池交換の度に必ずパッキン交換が必要ですが、行っておりません。
残念ながら殆どの電池交換では元のパッキンを再利用となります。
また「竜頭パッキン」の交換も不可ですから防水機能にはご注意ください。