フランク三浦 トノーブラック電池交換

2021.1.26お預かりのフランク三浦 トノーブラック電池交換です。
先日「針のズレでお預かりしたところ」

針ズレ修正の修理内容を興味深くブログで拝見させていただき、竜頭パッキンどころか裏蓋にもパッキンが無いという事がわかり・・・

ケース形状から不可能かと思いますが
日常生活防水レベルにモディファイする方法などございますでしょうか?
ご提案頂けるようでしたら宜しくお願い申しあげます。
都合よく腕時計用の液体パッキンなどあれば良いのですが・・・

雑貨時計は雑貨時計なりの一生(数年)を全うすればよいとも思いますが
販売元の謳う「完全非防水仕様」に嘘は無く、針ズレ、浸水に怯えつつ手持ちの高級機以上に気を遣う日々です

このお気持ち良く分かります。ただパッキンは入っていたような?確認にしてみましょう。それと「完全非防水の表記」ですが、これは保険であると思われます。そして「高級機以上に気を遣う」というのは、確かにその通り!。でも私などは自分の時計は防水であっても、手を洗うときは「時計に飛沫が掛からない様に気をつけております」。浸水したらOHしか無い。これが時計で有る事を知っているのは自分ですから。いくら10気圧でも時計の中で、どの様に劣化が始まっているか分からないですから。注意が抜けてザバッ!掛けてしまった時に限ってパッキンの劣化が始まった時期と重なっていた。何て充分あり得ますから。よって10気圧でも思いっきり手を洗うときは外します。

と言うと「では何のための防水機能か?」防水機能を使う意味が無いでは無いか?というご意見ですが。使い捨て感で使うか、OHの費用に糸目を付けない方はそれで問題ありません。私の考えは「いざ、やってしまった時に防水機能があれば助かる」という考えです。

よってこの「液体パッキンみたいな・・・」の気持ちは良く分かります。いざという時の備えがあるか、無いかの違いです。いざという時は時計より身体を優先して守りたいですから。

さて作業に進みましょう。

裏蓋は4本ネジで留まっていて裏蓋記載。

裏蓋の裏側もチェックします。

パッキンは装着されております。黒い蓋なので分かりにくいだけですが。ただ「これで安心」というわけにもいかない。まずパッキンが細すぎるという事。そして裏蓋とケースの平行が取れているかどうか。無いよりは断然マシではありますが。

裏蓋を開けるとスペーサーがムーブメントを覆っています。

これがムーブメントで。

電池格納部をチェクして電池を入れて動作確認。

裏蓋を閉めますがケース回りに「レジンを流しておきます」。

次は時計の上下の隙間。このレジンとは何か?手芸用品の一つで。

ジェル状の液体です。

これを垂らして紫外線を当てます。UVランプって物が売っており照射は簡単。

弾力があってグミよりは堅い感じで固まります。

塗り込んでUV照射で固めます。これだけでも水が掛かって、サッと流れ落ちる分には有効です。

まだ隙間は「ガラスとケースの隙間」「竜頭の巻芯回り」がありますが、そこまですると見栄えが悪くなります。ガラスは接着剤で留まっているようで接着剤が乾燥しない間は防水機能は果たすでしょう。また竜頭の巻芯回りは前回のお預かり時の写真。

これを見ると竜頭の根本に「パッキンが二重に装着」してありますから一応、防水機能はあります。でも裏蓋には「完全非防水」の記載は保険でしょう。防水って書くと10年経っても「保証を求められるのが時計屋の世界」。私が電池交換の預かりで「防水テストはしません」と書くようなもので、うっかり保証などしていたらネットではやっていけません。ダイエー時代数え切れない苦湯を飲まされた経験があり、今や背後に大きな看板は無いので自由にやっております。

 

 

「TAG HEUERのページ」では殆どでパッキン交換が行われておりますが。
TAG HEUERのパッキンが劣化している事が多いのでは無く。
既製品で同サイズのパッキンが入手出来るという理由です。
他の腕時計も電池交換の度に必ずパッキン交換が必要ですが、行っておりません。
残念ながら殆どの電池交換では元のパッキンを再利用となります。
また「竜頭パッキン」の交換も不可ですから防水機能にはご注意ください。

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