SEIKO Speedmaster 7A28-7010 電池交換メンテナンス
2020.1.19お預かりのSEIKO Chronograph 電池交換メンテナンスです。
2016年にもお預かりの腕時計。
今回は
「電池は容量があるので、動作回復とあわせて、洗浄、Cボタンのプッシュ不良修理をお願い致します。」と言う事で「お断り」しました。
分解修理不可のムーブメントで「電池は有るが動作回復」。つまりは分解修理が必要な状態で、分解修理はしないで「プッシュボタンのみ修理」ではおかしな話し。プッシュボタンの修理にお金を掛けても不動でまだ分解修理に費用が掛かるその分解修理さえ受ける所が無い状態です。それでも良いと言う事でお預かりすることになりました。
左のプッシュボタンが固着で解消をご依頼ですが、先に「3.100円と送料」を振り込まれてまして。果たして困った。洗浄+プッシュボタンは5.000円程は掛かりますから。洗浄は無しでプッシュボタンの修理だけなら3.100円でも出来なくは無い。
ブレスは既製に交換されております。かなりの汚れですが洗浄の費用まで頂いていない。
微調整位置をチェックします。
バックルの汚れも凄いです。別途費用を頂けるなら後で洗浄します。
裏蓋はスクリューバックで裏蓋記載。
裏蓋の裏側もチェックして。
これがムーブメントで、電池格納部をチェクします。
電池を入れると動き出します。ピンセットの位置のプッシュボタンが不動。
前回のお預かりの時のままで、ムーブメント側のレバーも錆びたママ。
ムーブメント取り出しの為には竜頭を抜きます。
竜頭パイプも、チェックします。
これが取り出した文字盤&ムーブメント。
レバーは錆びてはおりますが動きますからプッシュボタンは効くでしょう。ただ機能するかどうかは分かりません。
ケースの内側もチェックします。写真の左のプッシュボタンですが「軸が無い」。これでは固着を解消しても機能しません。今は錆で固定しておりますが、錆を落としたらプッシュボタンは抜け落ちます。
兎に角は外すしかありません。また異常が無い方のプッシュボタンを外して形状と長さを確認します。
「プッシュボタンの交換」しか手立てがありませんが純正品は当然もう生産も中止、在庫品も無いでしょう。
固着のプッシュボタンを外して見ますが、写真の様に先が崩壊してありません。
先端の崩壊を物語る錆の痕跡。さて何か合う物で交換するしかありませんが、ガラ箱のなかに何か合う物はあるか?。この目盛りが入った内装リングが外れない構造でケースの丸ごと洗浄が出来ません。
ガラスを外せば洗浄可能ですが、それはガラスのパッキンも外すと言う事で、劣化していたら外したガラスが戻せなくなりリスクが大きいです。
倉庫に入って1時間、同じセイコー系の同年代の物としてはこれ一つ。
装着してみますが本来の物よりも2mm短い為にプッシュボタンが内部のレバーに届かず機能しません。短いですが抜けることはありませんが。そこでクロノグラフのスタート・ストップ・0回帰の機能だけは使える様にプッシュボタンを入れ替えます。
今回取り付けた短いプッシュボタンは使わない位置へ移動。
これでもスタート・ストップは効きます。またリセット(ゼロ位置回帰)も行いますがズレたママ。
一つのプッシュボタンが効かないではゼロ位置合わせが出来ません。
3.100円で出来ることはこれで限界。追加費用を頂けるか打診します。
そこでまた倉庫に籠もって部品探し。同じムーブメントの時計が出て来ましたが。
こちらダイバータイプなのでケースの厚みがあるでしょうから、プッシュボタンの軸が長いと思いますが短くて届かないではお預かり前と同じ。
少し出っ張りますが、一応「カクン・カクン」とプッシュボタンが押せます。
これで「各・小針のゼロ位置合わせ」可能になりました。
バネ棒も洗浄して綺麗になり。
ブレスも洗浄して綺麗になりました。
ベルトごと洗浄でバックルの汚れも綺麗に。
ゼロ位置合わせも完了し3つのプッシュボタンが効いていることも確認。
時間を合わせて電池交換メンテナンス&プッシュボタン交換完了です。
「TAG HEUERのページ」では殆どでパッキン交換が行われておりますが。
TAG HEUERのパッキンが劣化している事が多いのでは無く。
「交換用のパッキンが入手出来る」という事です。
更に普通のOリング形状ですから既製品でも合わせる事が可能。
他の電池交換も必ずパッキン交換が必要ですが、入手出来無い為に交換出来ません。
残念ながら殆どの電池交換では元のパッキンを再利用となります。
また「竜頭パッキン」の交換も不可ですから防水機能にはご注意ください。