SEIKO Dolce8J41-6140 電池交換メンテナンス

2017.9.6お預かりのSEIKO Dolce8J41-6140 電池交換メンテナンスです。

文字盤のシミ取りがご依頼ですがサイト内で何度も解説しておりますが「文字盤は触れません」。

まして「正常動作」というご依頼ですから受けるか迷いました。
「断っておいた方が無難」なご依頼ですが兎に角は現物を見ないと。

竜頭の動きをチェックして。

ステンレス無垢バンドに三つ折れプッシュバックル。全体的には綺麗な時計です。

裏蓋は”はめ込みタイプ”で裏蓋記載。

開け口が分かりにくいですが簡単に開きましたのでサビは無い。

裏蓋の裏側もチェックして。

裏蓋を開けると耐磁プレートがムーブメントを覆っています。

ムーブメント全体がかなり湿気ております。

ツヤがありません。

巻芯心からの浸水では無い様です。

竜頭の裏側は洗浄でここまでは綺麗に。

竜頭パイプも、ここまでは綺麗になって。

これが取り出した文字盤&ムーブメントですが、文字盤周辺の腐食がかなり進んでおり。

文字盤は触れませんがインデックスに付着したものを拭くだけでも
ツヤが見えて綺麗になった感じがするでしょう。

文字盤に密着した黒い板はプラスチックのスペーサーですが。
この雰囲気は・・・・?と外して見れば。

文字盤の裏側にまで浸水と腐食が進んでおります。

スペーサーの裏側です。

この様子からは「ガラス外れの前兆」のまま使用されてガラスとケースの隙間から湿気が漏れ放題という症状です。

ケースの洗浄は終わってツヤが出ましたが、はやり!

接着剤が効いておらず洗浄器の底に沈んでおりました。
接着作業を行いますが時間が掛かります。

取付完了。

綺麗になりましたが、文字盤には触れておりません。金色のインデックスを拭いただけです。これもメッキにまで腐食が及んでいたら、拭いても変わり映えしないですが。
今回は救われました。
ところが、時計がいつのまにやら止まっており、嫌な予感。

綺麗になったケースにムーブメントを戻して電池格納部をチェックします。

スペーサーも洗浄して綺麗になりました。

さて正常動作が不動になった訳で。強制運針器に掛ければ普通に動きます。

 

しかしクォーツ・パルスが出ていない。

裏蓋も洗浄して綺麗になりました。パッキンにシリコン塗布をして裏蓋に戻し。

不動の原因は、ガラスからの浸水で常に湿気状態にあった電子部品が。
ムーブメント取り出しによって乾燥していき、収縮と同時に歪みが生じ回路不良を起こした。ということになります。この電子部品はもう存在しません。
もし有ったとすれば分解修理を必須になりますから高く付きます。
古い時計は「最悪、こういう事があるので費用を掛けれず。せめて電池交換メンテナンスで動いて綺麗になれば」というのが私が、このサービスを始めた理由ですが。
今回はムーブメント取り出しをしなければ、止まらなかったかも?しれません。

作業としては「電池交換メンテナンス+ガラスの接着+インデックスの拭き取り」ですが
結果は「正常動作→不動に」。
かといってここまで行って無料という訳にも行きません。
10年を越えた時計では、必ずおこるリスクですが、こうも見事に
止まってしまう事は長年、この仕事をしていても数えるくらいです。

これは互いに運が無かったと諦めるしか無いでしょう。(ブログ記事参照)

 

 

SEIKOの古いクォーツ時計ですから電池交換で動かない場合は「分解修理」となります。
その場合の費用は10.000円〜30.000円くらいの予算をご用意頂かないと
受付さえ出来ません。
また分解修理して動いたとしても、各所の部品の摩耗もあり
その後10年とかの使用には無理があります。
また問題は電子部品の不具合。これは部品ごとの交換しか対応法がありませんが
もう古い部品ですから存在しません。
存在しても、それは何十年も悔過した新品です。 よって分解修理で動いても、
その直後に「電子部品の不具合が出た場合は修理の費用が無駄になる」
そのリスクはご了解頂かないと後悔する事になります。
よって古いクォーツは「電池交換で動けば使える時まで使えばOK」と
割り切って使用される事をお勧めします。

BRANDJAPANCASIOG-SHOCKその他不動修理受付不可