腕時計の基礎知識/腕時計のガラスとは/2004年7月(記述)

腕時計のガラスと言えば1970年頃まではプラスチックが普通でした。
呼び方は「腕時計のガラス交換をお願いします」でしたが。
時計店ではその頃ガラスのことは「風防(fuubou)」と呼んでいました。
その由来から腕時計マニアの間では今の”クリスタル”も風防と呼ぶ方も居ます。

今は腕時計のガラスはクリスタルやサファイアガラスが主ですから。
現在は「腕時計のガラス=クリスタル」です。
昔の手巻き腕時計などのプラスチックガラス。
これを「風防」と言った感じです。
ちなみにネットで「腕時計の用語」を見ておりますと腕時計のクリスタルガラスの事を
「ミネラルガラス」と書いてありました。
そんな風に言っているのだと試しに腕時計の業界内で、
普通の会話で使ってみたら通用しませんでした。(;^_^A

腕時計基礎知識/腕時計のガラスの区分け図

腕時計のガラスは大まかに分けると上記、図のような区分けになります。

 

プラスチック風防

今や使われる事は無くなりましたが、やはり素材がプラスチックだけに
キズも付きやすく使用されません。
でもアンティークな雰囲気を出すために、わざとこの風防を使ったモデルもあります。

クリスタルガラス

今の普通のガラスで”ミネラルガラス”などとも呼びます。
ハードレックス、クリスタル色んな呼び方がありますが
「ガラスであるのには違いありません」。
このガラスには青っぽい物や緑っぽい物など色々あります。

あとは厚みですね。薄型クォーツには厚みが1mmもないガラスが使用されます。
これに防水性能が高くなるにつれて厚みが増していきます。
それは気圧に耐える為です。
200m防水ともなればガラスの厚みは3mm以上ある物もあります。

サファイアガラス

良く勘違いされるのは宝石のサファイアで出来たガラスが入っている。
そう思っている方が居ます。
これは”宝石のサファイアと同じ硬度のガラスが使用されております。
”といったような意味と理解してください。

でもこのサファイアガラスは本当に堅いのです。
ガラスの表面を金属用ヤスリで削ってもキズが付かない事には驚きます。

ガラスの堅さ

そこで良くある勘違いですが、そんなに固いのなら”割れない?”。
ですが、これは割れます。”固い物はキズが付きにくいが割れやすくなります”。

普通のガラスなら何処かにぶつけた時に、ガラスが欠けますが割れにくい訳です。
これがサファイアガラスになると本来は欠ける所が真っ二つに割れます。

これをもっと分かりやすく表現するならば、
プラスチックの下敷きと同じ大きさ・厚みのガラスの板を想像してみてください。

落とした時にプラスチックの下敷きが割れる事は考えられないですね。
ガラスなら割れてしまおります。
これが”固い物質ほどキズが付きにくいが割れやすい!”という事です。

カーブガラス

これはドームガラスとも言おりますが、時計の雰囲気に高級感を出します。
よって安い腕時計にはあまり使用されません。

コーティングガラス

これは時計でも高級な機種にしか使用されませんが、目的は”視認性を高める為”。
丁度メガネのレンズを想像して頂ければ分かります。
表面が真っ白に反射するのがコーティング無しのガラス。
ガラスの表面を横から見た時に薄いグリーンや紫に見えるガラスが
コーティングガラスになります。

ガラスの値段

腕時計の値段の要素は”Cooの腕時計通販”の「価格による値段の違い」でも
解説しておりますが、このガラスの善し悪しは
「平ガラス」「カーブガラス」「厚み」「サファイアガラス」「コーティング」で決まります。

つまり”厚いカーブガラスでサファイア、それにコーティングした物”
これが高級なガラスですが、このガラスが入ると腕時計の定価は20万を超えるでしょう。
カーブガラスは3万円くらいの腕時計にも入りますが
サファイアガラスが付くと今でも5万円は超えます。(2004年現在ですが)

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