腕時計ベルト・バンド調整と交換修理/Cリングの調整方法
2004年7月(記述)
ベルト調整のひとつ「Cリング式」です。安い腕時計には採用されていない方式です。
このタイプの基本は「割ピン式」と同様ピンを打ち抜き外します。
写真でもCリングタイプの仕組みが分かります。
「 Cリングタイプ」は専用の修理工具を使おります。
しかし指で突いてピンは抜けません。必ずハンマーが必要です。
ベルト調整工具
工具の解説は「腕時計修理工具について1」をどうぞ。
写真の様にベルトをバイスに固定し工具を(打ち抜く為の棒)を当てがおります。
もちろん写真の様に「↓」の向きには注意です。
そしてハンマーで叩くと徐々に押し込まれていきます。
一撃では抜けませんから、少しずつ打ち込んでいくことがコツです。
あと重要なのは「必ず抜け落ちるまで打ち抜く」です。
途中まで打ち抜いて、後はペンチ等で引き抜こうとしてはダメです。
必ずこの位置まで打ち抜きます。すると、おそらくバイスの下には
この様なピン(棒)が抜け落ちております。
くびれも戻りも無い、普通の棒ですが、これで何故ピンが抜けない様に固定されるのか?
ここで、何も考えないで腕時計のベルトをバイスから外していけません!何故なら。
ピンが下まで抜ければ、写真・○の様な部品があります。
「小さな部品がまだ腕時計のベルトの中に残っている」のです。
大きさ2mm~3mm。このパーツがCリング式の「心臓部」です。
この部品を無くすと、ピンを固定出来ません。
時計店でも販売されておりません。
さて、このパーツは何処に収まっているのか?
ココに入ってます。よってピンを打ち抜いたからとベルトを持ち上げてから。
ベルトの上下の向きを変えてはいけません。
ゆっくりベルトを傾けましょう。
この小さな部品が床に落ちれば探すのは大変。
注意:この「Cリング」写真では凸の部分に入ってますが凹の部分に入っている
タイプもありますからご注意ください。Cリングの調整方法2。こちら
これを見て何故「Cリング」と呼ぶかは一目瞭然!断面が「C」の形状になっているからです。
この様に組み込まれているのですが・・分かりますか?
さて「Cリング」を無くさない様に注意しながら任意の個数だけ外せば
今度は元に戻します。
ここで注意です。「 Cリング」の入る「穴」は上と下では「直径」が違おります。
必ず「穴の直径が大きい方」から入れてください!。
この直径が同じではピンを打ち込んだ時に抜けます。
(穴の径が同じ物も多々ありますからご注意です)
注意点は「↑」の向きと反対から「ピン」を入れる。
ピンの打ち込み方法は「割ピンの調整方法」で解説したのと同じです。
とにかくこの「Cリング式」は結構力が要ります。
小さな部品ですから細かい物を触る作業が苦手な方では作業は難しいです。
注意!このCリング調整の前に「割ピン式」のところで
”画鋲での調整”を紹介致しましたが。
この画鋲は「割ピン式」のみ有効です。
もしこの方法で「Cリング式」のベルト調整をするとどうなるか?
こちらCリング調整を画鋲でやってはいけない!で、どうぞ!
やはり「Cリング」を実行するにはバイスや金槌など、ベルト調整用工具は必携です。
最近はこういう工具はネットで売っております。
次は「簡易アジャスター」といきましょう。2017.7.6修正